スキルの定義から考えて、スキルと啓発に分けるスキルマップ作成をすることで経営効率を上げる
こんにちは。グラスルーツ株式会社高橋です。
今回はスキルとは何か?について私の考えをお伝えしたいと思います。この根本部分を考えることによって、スキルマップ作成時や、従業員教育を行うときに気持ちのはれる部分がいくつかでてくるはずです。企業活動で大切なことはコントロールできることとできないことをはっきりさせるこです。そして先ずやるべきことは、コントロールできる部分をきちんとコントロールすることです。
【共感いただきたい問題意識】
以下のような問題意識をお持ちの企業の人材育成担当者様は是非ご活用ください。
とりあえずスキルマップを作ってみたが、この通りにトレーニングをすれば本当に会社がよくなるのかモヤモヤする
言葉の定義が曖昧なので、もっと細かく考えたい
集中して投資する部分と、そうではない部分を誰から見てもわかるようにしたい
【背景】
お客様と研修やその前提となるスキルについて話をする中で、だいたいの場合、どんなことができると良いですか?それはどのように評価できますか?という話になっていきます。その話の中で、そもそもスキルって何?という話になることもあります。そうした話の中で、この話をさせていただくと多くのお客様が良い切り口の話だと良い反応をいただくこと。
また、最近、◯◯力という書籍が随分発売されるようになりました。
そういうこともあって、プレゼン力、論理的思考力、最近ではやり抜く力なんて言葉も聞いたことがあります。こうした書籍の言葉は、販売上のコピーであって従業員教育では馴染みにくいテーマもあると思います。
こうした環境から考えると、どうしても言葉に惑わされて、何をすべきかが見えにくくなることがお客様の中でも起きているだろうと感じています。
【スキルとは何か?】
まず大前提として、スキルとは何かをここで定義してしまいます。
論点① 足し算で表せる内容
先ずは、私の考えるスキルとは?話をすると広義の意味では、書籍にあるような◯◯できる力で良いと思いますが、従業員教育をする場合は、a+b=c といった計算式で表せるもののみに活用すべきだと思います。
これってすごく大事なことで、結局そのスキルが向上するか否かは、そのスキルそのものが論理的な階段になっているかどうか?で決まってしまう部分があるからです。たとえば、営業する力をa+b+cに分解することはほぼ不可能です。これは、成功する方法を教えますよというのに近い話です。
つまり、ここで正しいのは、必要条件の提示のみにとどめることです。a.b.cをそれぞれ教えるだけが良いのであって、営業力全体ではないでしょう。
この場合、従業員への伝え方は、
営業力ではなく、aという営業に使えるスキル、bという営業に使えるスキルと伝えることが正確だとかんじます。
つまり、私の意見では営業力をきちんと示す要素が不確実なので、営業力とはスキルではないという見方をします。
一方、敬語は、いくつかの種類できれいにわかれるため敬語は誰でも学べるはずです。こういうものを狭義のスキルと私は読んでいて、このタイプのものを従業員にはお伝えした方が、効果がわかりやすいともいえます。
論点② 訓練によって高めていけるもの
先の話で、営業力というスキルは変だという話をしましたが、営業の流れのなかで、スキルになりうるものはあると思います。例えば、ヒアリングスキルです。例えば、aの質問をした後に、bという、といった具体的流れを示した場合、その具体的流れを訓練することで、実際の営業の場面においても同様の質問ができるはずです。このように、内容が具体的で、訓練によって向上するタイプのものをスキルと考えてみてはいかがでしょうか?
【スキルではないもの(啓発)を定義する】
次に重要なことは、啓発に関する事項です。会社には、ハラスメント防止、情報漏洩対策、安全対策などのための啓発教育をしています。また、もう少し踏み込むと、従業員のモチベーションを上げるなど、数値化できないが会社として進めたい項目も入るはずです。具体例をあげながらみてみましょう。
◯ハラスメント、情報セキュリティ研修
ハラスメントなどは、営業活動には直接関係のない部分でもあるので、ハラスメント防止をスキルとはいいません。しかし、
◯モチベーション向上研修
モチベーションを上げるスキルと言ってしまうこともあるはずです。しかし、これも数値化できないため啓発ジャンルに該当します。
◯やり抜く力を鍛える研修
私のいうところのスキルを磨くという意味では、意味のない研修になってしまうかもしれません。しかし、やり抜く研修に別の意図を持たせることはできるはずです。
例えば、やり抜く大切さに気づける研修です。これならスキルの向上とは関係ありませんが、やり抜く力に通じるものはあるかもしれません。しかし、これでも啓発ジャンルです。
スキル定義に該当しないものは、全て啓発に該当すると考えれのが妥当だと感じます。
足し算で表せないかつ、訓練によって高められないものはスキルではないとしましたので、モチベーション向上は、スキルではなく、啓発事項に入ると考えます。
【経営効率の良いスキルマップ】
これまで見てきたように、今回の定義においてのスキルに該当するものは、実はそこまで多くないはずです。
冒頭に申し上げたように、
コントロールできること=スキル
コントロールできない=啓発(ずっとやりつづける)
と分けるとスッキリしてきます。
経営感覚からすると、スキルは向上可能なわけですからより直接的に成果に繋がります。一方、啓発はジワジワと間接的に成果にみえるためほとんど数字にすることが難しいはずです。
これからスキルマップを作る、すでにスキルマップがある会社は、ぜひ、今回の定義に合わせてスキルを再定義してみてはいかがでしょうか。
この定義に合わせて考えることで、以下のように、経営的無駄を排除できるはずです。
【以下のように経営的判断可能】
①訓練可能だと思っていたものが、実は啓発タイプのもので成果がわからないのに、過剰に投資していた。
②訓練可能なものは、直接的な営業成果に繋がるので、これまでより資源を集中的に投下する
【将来的なチャレンジとして行うこと】
すぐにできることは、今申し上げたようにスキル、啓発を厳密に分ける作業です。そして、ここまでの話にはありませんが、チャレンジすべきこととして、現在、啓発としての扱いになっているものをいかに数値化していけるか等があります。例えば、理念の浸透度合いを数値化してスキル扱いとするなどが該当するでしょう。しかし、これは相当にチャレンジレベルが高いため、経営効率を考えるときの優先度は低くなります。先ずはできることからきちんと行うことをおすすめします。
【啓発の取り組みに関する効果を高める方法】
これまで、スキル定義、スキルマップ制作時の注意点やそこから経営的観点で、何に投資すべきかをお話ししました。
さて、ここからは一見取り残されてしまった啓発に関する取り組みの効果的なあり方について紹介します。弊社グラスルーツ株式会社が、スキル訓練以外の部分で特に力を入れている分野です。
ここまで、あたかも啓発には集中投資しないといった見方ができる説明をしましたが、安全、セキュリティ、理念など企業の根幹はこの啓発テーマによって支えられています。短期的な成果よりは、中長期の成果としてスキル以上に他者との競争優位を作る項目です。
しかし、これらのテーマの残念の共通点があります。
なくても従業員は今困らない
入社当初は興味はあっても段々興味がなくなる
実はここがポイントです。従業員の多くは、これら啓発されるだけの動機がないのです。だから余計に啓発を難しくしているとも考えられます。
弊社の以下の取り組みは、いづれも啓発上、動機を提供することができます。
これらを良質な体験と捉えて、従業員に動機を伴った啓発活動を提示することができます。
いかがでしたか。スキルを定義し、スキルマップを作れば経営的な投資分野を見出せます。また、一見、見出しにくい啓発分野においてもより効果的な手法によって中長期の投資を着実に進めることが可能です。
グラスルーツ株式会社は、コンサルティング会社ではありませんので、このような相談は無料です。弊社の提供する体験とセットで、人材育成の取り組みを根本から見直してみても良いのではないでしょうか。
ご興味いただけましたらグラスルーツ株式会社高橋までお問い合わせください。
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